雲に迷う日
 






この街に来ると雲が近くなる

晴れた空に

空撃ちされた大砲のように

雷の音が轟いている






















浅間山がはっきりと見えるのは

じつはよく晴れた日だけで

窓を開けるたびに天気に気づいた

見えなくてもあることを信じた






















初めてここに来たときに

霧に追いかけられた

ひとりまたひとりと

飲み込まれていった






















ここでは歩くことと登ることが

ゆっくりとつながっている

幾重にも重ねられた線の上を

なぞるように

少しだけ過ごした